大阪・関西万博のサテライト会場となった「EKIspot KYOTO」=京都市下京区のJR京都駅ビル
13日に閉幕した大阪・関西万博は大阪だけでなく、関西一円の活性化を期して「関西」の名も冠することになった。関西や近隣の各府県にはサテライト会場が設けられ、万博にちなんだキャンペーンも展開。万博を訪れる観光客の周遊を狙ったが、夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)の会場の混雑ぶりと比して、周辺の集客は限定的だったといえ、「大阪の独り勝ち」との声も漏れる。
万博を巡っては当初、大阪単独で開催する案もあったが、関西全体での開催に転換。鳥取、徳島、福井、三重を含む9府県にサテライト会場を設けるなどした。
京都府では京都の魅力発信の拠点として、JR京都駅ビルにオリジナルスタンプなどを備えた「EKIspot KYOTO」を開設。9月16日時点で延べ約10万3千人が訪れたが、関係者は「万博と連動した観光客誘致の効果については、精査する必要がある」と慎重な見方をしている。
万博会場には半年間で約2558万人が訪れ、大阪に観光客が集中したとの見方がある。
京都市観光協会によると、市内宿泊施設の平均客室単価は、7月が前年同月比4・2%減、8月が同6・7%減となった。協会がホテルなど約120軒に聞き取ったところ、「宿泊客の需要が大阪に流れた」という声があった。稼働率を維持するため宿泊単価を下げたとみられ、今後詳細に要因を調査するという。
兵庫県では、県全体をパビリオンに見立てた体験型観光事業「ひょうごフィールドパビリオン」を展開。さまざまな体験型プログラムを用意したが、参加した事業者へのヒアリングでは、6割が昨年度の前半と比較して同数または減少したと感じたという。
万博のサテライト会場となった兵庫県立美術館(神戸市中央区)では、県の魅力をPRする「ひょうご EXPO TERMINAL」を実施。来場者数60万人を目標としていたが、今月9日時点では9万人程度にとどまった。
県によると、物価高により展示物の規模を縮小したことや、小学校などの教育旅行先として万博会場が優先されたことなどが影響した可能性があるという。ただ、万博最終日の13日には多くの家族連れの姿がみられた。担当者は「(来場者数が)目標からは離れているが、ひょうごフィールドパビリオンの入り口となる効果は一定あったと思う」としている。
万博を訪れた観光客を呼び込むため、独自のサービスを展開した県も。徳島県は、万博会場内の徳島ブースを訪れた県外在住者を対象に、通常2千~4千円程度かかる徳島までの高速バスやフェリーを片道500円で利用できるクーポンを配布した。
10万4392枚を配り、8月末の利用期限までに約1万3千人が利用したとみられる。実際の県内への経済効果の算定は今後になるが、県の担当者は「万博は多くの人に徳島に関心を持ってもらうきっかけとなったのではないか。引き続き観光PRに取り組んでいきたい」と話した。