公明党中央幹事会であいさつする斉藤鉄夫代表(中央)=東京都新宿区の公明党本部で2025年10月9日午前10時35分、野間口陽撮影
公明党は9日の中央幹事会で自民党との連立のあり方を巡り協議したが、党内でくすぶる「連立離脱」に賛否両論が噴出した。同日夜の各都道府県本部の幹部による「全国県代表協議会」でも両論が出た。斉藤鉄夫代表は地方幹部との会合で、10日に予定される自公党首会談に臨んだ上で「自民の回答を聞いて私が判断する」と説明した。
公明は連立維持の条件として、企業・団体献金の受け手を限定する規制強化案の実現や、自民派閥裏金事件の全容解明などを求めている。自民の高市早苗総裁は9日夜、NHK番組で「明日(公明から)話を聞いてみたい。党内でも検討させる」と語った。連立交渉が長引けば、首相指名選挙の見通しが立たず、21日を軸に調整する臨時国会召集はさらに遅れる可能性がある。
斉藤氏は9日の会合で、自民新執行部の幹事長代行に起用された萩生田光一氏の政策秘書(当時)が8月、政治資金規正法違反で罰金の略式命令を受けたことなどを念頭に、裏金事件で「新たに起きたり、明らかになったりした事実がある」と強調。「政治不信の根底にあるこの問題について、国民は自民にしっかりとした姿勢を示してほしいと思っている」と述べた。
会合では党内や支持母体の創価学会内に渦巻く「連立離脱論」に対し、発言が相次いだ。「自公は26年間、国民への責任を果たしてきた。熟慮を重ねて慎重に決断すべきだ」と連立維持を求める声の一方、公明が重視する政治とカネの問題で「自民から満足いく答えがなければ、連立解消もやむを得ない」との主戦論も上がったという。
公明の赤羽一嘉中央幹事会長は会合後、10日の党首会談について「自民がクリーンに回答してきたら一番いいが、どうなるか分からない」との見通しを記者団に示した。
一方、自民の高市氏は9日、公明と独自のパイプを築いてきた菅義偉元首相と国会内の菅氏の事務所で面会した。また、岸田文雄前首相とも会談した。いずれも鈴木俊一幹事長が同席した。連立協議への協力や助言を首相経験者に求めたとみられる。【野間口陽、大野航太郎】